My darlin' Scientist〜私の彼氏は変わり者〜



それから数日かけて引継を終え、紫さんはたまにしか研究所に姿を現さなくなった。

詳しくは教えてもらっていないが、ほかで色々極秘業務を担当しているらしい。

―――――♪♪♪


所長室の内線電話が鳴った。
電話の内容は、桂木所長宛てに荷物が届いているから総務課に取りに来てほしいとのこと。

もうすぐ定時を迎える時間だったので、早く帰りたかった私はメモだけ残して本社へ急いだ。



―――管理部門である総務課は定時で帰る規則になっているため、定時を少し過ぎただけでフロアが真っ暗になることがよくある。

今日はまだ人が残っていたらしく、電気がついていたので安心した。

「研究所から来ました」
いつもなら気分の良い対応をしてくれるのに、今日は様子が違った。


『気をつけなよ』
麻里奈の言葉が脳裏をよぎったが、時すでに遅し。

私は数人の女子社員に引っ張られ、総務課の倉庫に連れて行かれた。

もしかして!

「荷物なんて嘘よ。あなたを呼び出す口実に…ね」

やられた。
私は囲まれてしまい、リーダー格の女性に睨みつけられた。
どう見てもこんなことしなそうなきれいな人なのに、どうして?

「あなた、長澤くんの例の子よね?」

長澤。
まさかまたその名前を聞くことになるなんて。

「長澤くんも桂木所長も、なんでこんな子をかまうのかしら」

聞きたくない名前を聞かされて、一方的に責められて。
私の中で苛々した気持ちが高まって限界だった。
「私はなにもしてない!勝手に言いがかりをつけないでください!」

彼女たちの表情がみるみる変わる。
しまった!

「生意気な!ただじゃおかないわよ!」

ヒステリックな叫びとともに、リーダー格の腕が上がる。

―――やられる!



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