悪魔の妹と天使の彼女
ミエルはかなり困っていた。
俺も意味が分からない事だらけだが一つ思い当たる事があった。
「もしかしたら、俺が刺される前の空白の時間の出来事に何か関係があるのか?」
ミエルは話し出した。
「そうなるね。サリリお姉ちゃんと話して黙っておこうと決めてその記憶をボクが消したんだ。お兄ちゃんには残酷過ぎるからね。でも、シアン様が言ってしまうというのは誤算だったよ。でも、勘違いしないでね?ボクとサリリお姉ちゃんはお兄ちゃんを守ろうとしたんだよ?」
「守る?人の記憶を消しておいてか?」
俺は自分の記憶機能をいじられた事にかなりの不快感があった。
「お兄ちゃんが天使だと言うのは事実。でも、さっきみたいにレイトが来て自分が天使ですって言ったら間違えなく消されるよ?そうならないためにも自分が天使と言うのを自覚させては駄目だったの?」
「ミエルとサリリの気持ちは良く分かった。俺を助けてくれようとしたんだよな?それには素直に礼を言うよ。でも、人の記憶を消すとか書き換えるとかって言うのは良くないんじゃないか?」
ミエルは暗くなって口を開いた。
「そうだよね、ごめんなさい。でも、これもお兄ちゃんが好きだから消えて欲しくないからした行為って言うのだけは覚えておいて欲しい。」
「分かったよ。で、俺はその真実を知ってどうしたらいいんだ?」
「たぶん、これから先、シアン様が言ってたようにお兄ちゃんは命を狙われるはず。戦うか生き延びるしかないと思うよ?」
「戦うったってどうやって?」
「お兄ちゃんには天使としての力が宿ってるの。それを解放しない限りお兄ちゃんは悪魔に消されるよ?」

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