十五の妄影(もうえい)
第六章、佐奈
ベッドの中。

救急車とパトカーのサイレンの音で目を覚ました。

「んん…」

国道沿いに面したアパート。

こういう音は日常茶飯事だけど、今日はやけに数が多かった。

何かあったのかしら…というか、もう少し眠りたかったのだけれど。

大学の講義も休み、バイトも今日はない。

久し振りに昼前までゆっくりと寝るつもりだったのに。

時計代わりの携帯電話を確認すると、午前九時過ぎ。

七時間も眠れたなら上々か。

私はノソリとベッドから身を起こした。

< 101 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop