十五の妄影(もうえい)
最終章、佐奈
「とりあえず、お疲れ様だね。晋作君」

週末のファミレスは、大勢の客でごった返している。

窓際の席…対面に座り、私はドリンクバーのカフェオレを、ストローでクルクルとかき混ぜた。

「どう?久し振りに普通の生活に戻った感想は?」

「まぁ…僕が撒いた種だからね…普通の生活っていっても、まだしばらくは監視がつく訳だし」

晋作君はそう言って笑った。

はにかんだ笑顔。

あの頃とちっとも変わらない笑顔だった。

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