十五の妄影(もうえい)
第二章、晋作
佐奈さんがプレゼントしてくれた白のスニーカーは、まだ下ろしたてで朝日を浴びてピカピカに輝いていた。

翌朝。

僕は身支度を整えて自転車にまたがる。

いつものように学校へ。

校門を潜り、駐輪場に自転車を置く。

…遭遇するクラスメイト達と、会話はない。

一瞥して、表情すら浮かべずに僕の脇を通り過ぎていく。

空気。

存在しないもの。

それが僕のクラスにおける位置づけ。

毎日心が折れそうになる。

だけど今日は少しだけ顔を上げる事ができた。

俯くと目に飛び込んでくる、ピカピカのスニーカー。

佐奈さん…。

僕は前を向き、校舎へと向かって歩き出した。

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