十五の妄影(もうえい)
第四章、佐奈
夜道をひた走る。

しまった。

今日は晋作君の家での家庭教師の日だってちゃんと覚えていたのに、時間になるまで…と思って少し居眠りしたのがまずかった。

午後六時にはお邪魔していなきゃいけないのに、既に一時間オーバーしている。

晋作君の家に電話して、遅れる旨を伝えたかったんだけど、誰も出なかった。

怒ってるのかな?

それとも留守?

とにかく行かないと。

こんな時に限ってパンプスを履いてきてしまった自分を恨む。

走りにくいったらなかった。

< 61 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop