『舞桜』

攻撃

ホスト教師もとい、椎名に慰められつつ、教室へ向かった。


「はじめまして、紅光 桜花です。」

いきなり教室に入って行った教師について教室に入れば、奇妙な視線が突き刺さる。

椎名の無言の促しで自己紹介をしたのだが、

まるで、値踏みしているかのような目つき。

ハッキリ言って気持ちのいいものではない。






『あれ、昨日志賀さんに盾突いた人じゃない?』





ふと漏らされた言葉に、教室が騒がしくなる。

値踏みする瞳が、あきらかな嫌悪を写し始めたのが分かる。




「紅光さんは此処の席で。」



教室の様子など我関せずで言ってのけた担任は、にこりと笑って見せた。



「香、よろしくね」



椎名の指した席は窓側の一番前の席。

その近くに見つけた香にそう言うと、クラスのざわめきが増す。





"何故、生徒会役員と親しいのか"、と。






桜花が学園に来たばかりだからか、彼らは食堂での出来事を知りながら、誰がかの志賀財閥御曹司、志賀雫に"謀反"を起こしたのかは知らないようだった。


しかし先程呟いた人間がいる様に、覚えている人もいるわけで、もうこの話が回ることは確実だ。

仕方ない、と考えて座ろうとしたら、ドアが勢いよく開いた。

そこにいたのは、志賀雫。

苛立ちがその瞳に見え隠れしている。


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