Je t'aime?



さっき自分でも思ったことだ。



今まで、自分に対して嘘をついていた。



気がつくと、祐太よりもウジェーヌのことを考えていること。



ウジェーヌが私に好意を持ってくれていること。



それから―



その感情は、認めてはいけないということ。



その全部を、わかっているつもりだった。



だから誰にも言わずに、自分の中で処理しようと思っていたのに…。



祐太を怒らせて、紗江子に見透かされた。



本気になればウジェーヌも私もつらくなるだけ、その言葉は、正しかった。







「…私、金曜日はやっぱり祐太と映画に行ってくる」



私はまた涙がこみ上げてくるのをこらえながら、小さく言った。



その言葉の裏に込めた意味を、紗江子は察してくれたようだった。



『うん、それがいいよ』



「心配してくれて、ありがとう。ごめんね」



『やめてよ、そういうの。照れるから!』



私を気遣って、わざと明るく茶化す紗江子の気持ちがうれしかった。



私は、もう一度、



「ありがと」



と言って電話を切った。








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