手紙


「え……聞いて……ないの?」

「……うん」


……ど、どうに反応したらよいの!?

ちょっと誰か、この微妙な立場を交換して!!


「聞いてないっていうか……気持ちを知ってほしかっただけ」


スキの気持ちを伝えただけ……?


「柚縷が葵のことが好きっていうのも知ってたし、その時点であたしはまだ対象外なわけ。これから先もわからないけど、言ったら意識してくれるかもしれないでしょ?」


そんな乙女ちゃんな花音が、可愛いと思った。

諦めない心が、強いと思った。


「あたしなりの賭けだよ。だから、あたしを好きになった時に告白してって言って逃げた」

「逃げた!?」

「ちなみに質問は一切受け付ける気はありません」
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