ナツの誘惑
親友の彼女


***



校舎裏の非常階段は

学校のシンボルになってる大きな広葉樹の陰になって

夏だというのに、涼しげな風を受けることができる




「…緒斗(おと)くん」




午後の授業も受けないで

そこに仰向けに寝転びながら昼寝をしていたオレの上には


光と共に、
淡い誘惑が降りてきた




「ねぇねぇ、夏…好き?」


「……キライ」


「ふぅ〜ん。じゃあ那都は?」


「…………」




ゆっくりと瞼を開けば

目の前には長い髪を垂らした女がオレを覗き込んでる



那都(なつ)…

親友篤志(あつし)の彼女




「……さぁ」




そう言いながら

オレは陽射しに輝く髪を自分の方に引き寄せ



そのまま深いキスをした



***



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