碧の記憶、光る闇
13
「碧、昨夜の話し考えてくれたかな」

4人で食事した帰り道、閑静な住宅街を歩きながら和哉はおもむろに切り出した。

雅彦はまだ碧と一緒にいたそうな感じであったが碧の心情を察知して静香が半ば強引に雅彦を2件目に連れて行った。

「うん、前向きに検討中でございます」

「ははは、はぐらかされるなあ。頼むよ碧、はいって言えよ」

笑いながら碧の手をとる。一瞬その手を離そうかと思った碧だがその暖かさに、そのままにする。

(近所の人が見たら仲のいい兄弟だなあって思うだろうな)

「だって私お医者さんのお婿さん貰ってお父さんの跡つがなくちゃいけないもん」

「冗談だろ?困ったなあ、今から勉強しても間に合うかな」

半ば本気とも取れないような真剣な表情で和哉は呟いた。

「冗談よ…私、お兄ちゃんのこと好きよ。小さい頃はずっと大きくなったらお兄ちゃんと結婚するんだって思ってた。でも私ももう25歳だし、色々とクリアしなくちゃいけない事も多いわ」

「金沢との事か」

「…知ってたの」

「俺が知らないとでも思ってたのか?馬鹿だなあ俺は碧より2年も長く生きてるんだぞ」

「あんまり変らないじゃない。でも正式にお付き合いしてたって訳じゃないの。ただ一緒に映画見に行ったりご飯食べにいったり…」

雅彦と初めてキスした日のことを思い出し、少し切なくなる。
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