ピュア・ラブー‐鞄の中の天使‐ー
母さんの言いたいことは、解ってる。だから、逃げるべし!


「おやすみなさい!」

呆然と立ちすくんでる母さんが、愛しいよ。

そりゃそうだよな…。あの鞄買うのに母さん、会社に頼んで残業までしたんだから。


たかが、部活の鞄買うのに母さんに苦労掛けてあんなにおねだりして手に入れたものなのに…。


二階のあたしの部屋で あたしの頭の中は、またあの声のことでいっぱいだった。


母さんには、言えなかったけど、本当はあの時、大地が、「その鞄、オレにくれないか?」って言ったあの時、何処かで声がしたんだ。


『あげちゃいなさい。』

その声は、そう言ったんだ。


だから、あたしはつい、アイツに言ってしまったんだ。


ーーいいよーーって。
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