15才でママになった理由(わけ)
南さんは俺の気持ちなんかお構い無くて、一人でその気になっていた。

何かが間違ってる。


「琢哉さんと二人でもう少し話がしたいの。真人さん、奈都ちゃんと食事にでも行ったらどうかしら。」


俺はこれ以上南さんと話す事なんてない。


「奈都ちゃん、ご飯食べに行こうか。」


「行きましょう真人さん。琢哉さん、琢磨頼みますね。」


奈都ちゃんは本気で行ってしまうのか。


奈都ちゃんが怖い顔で言った。


「琢哉さんは誰にでもキスするんですね。」


違うよ。


これは誤解なんだ。


「真人さん行きましょう。」


奈都ちゃんが風間と手を繋ぎ出ていってしまった。


奈都ちゃん、お願いだから、弁解させてくれ。


俺から南さんにキスしたんじゃないから。


信じてよ、奈都ちゃん。


「琢哉さん、真剣なんです。だから琢哉さんも真剣に私の事考えてほしい。」


あまりにも真剣な南さんに、どう答えるべきか。


「少し時間がほしい。考えてさせてくれないか。」


「いい返事、期待してますからね。」


俺はどうしたいんだ。


目を閉じると阿紀の顔でなく、今にも泣きそうな奈都ちゃんの顔が浮かんだ。


胸が苦しい。


奈都ちゃん、俺はどうしたらいい。


この気持ちに気づきたくなかった。














< 156 / 320 >

この作品をシェア

pagetop