名前モモ、口癖ドブス、職業あたしの恋猫。
そう小さく叫んだ時には、もうあたしの体は空中に飛んでいた。


ぶつかった衝撃はあったけど全然痛みは感じない。


なぜか滞空時間が長くって、あたしはその間スローモーションで流れるまわりの景色を冷静に見ていた。


あとを追ってくる前タイヤがグッシャリ潰れたお気にの自転車。


今まで気にしたことなんかなかった濃い緑色の街路樹の葉っぱの形。


真っ青過ぎるくらいの大きな空に浮かんだモックモクの入道雲。


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