ライナーアンドザ・スカイ


一杯になったバケツを見て、腕時計を確認した。


「俺、これ捨ててきたら帰る」

あと十分あるけどね。

立ち上がって大きく伸びをした。


成瀬も大変だな。

冗談抜きでも少なく見て一か月くらいはかかりそうだ。

梅雨に入る前に終わらせないと夏までかかりそうだし。


「ああ。明日も頼む」

「やだよ」

付き合う義理なんかない。

重いバケツを持った。

俺だって「絶賛恋は盲目中」のフォローで忙しくなる予定なんだから。

草むらを抜け出そうと歩き出す。

「あー!おい!」

大声で呼ぶ成瀬を無視して、ゴミ捨て場へと続く校舎の角を曲った。



< 58 / 220 >

この作品をシェア

pagetop