PURE ~ずっと忘れない~
霊安室に戻ると、美月と、猛君の姿は無かった。

「美月ちゃん、もうすぐ出産だからさ、家で休ませる様に、俺が言ったんだ。」
「そうだよね…。もうすぐだもんね。」
タッちゃんと、里沙ちゃんが、しみじみ言った。

冷たくなった直樹君の手を握り絞めて、
「直樹君に貰ったネックレス、付けてみたよ?

指輪とオソロなんだね。

最後の…プレゼントに…なっちゃったね?

有難う…。

直樹…。」

あたしは、そっと直樹君の唇にキスをした。

暖かく、柔らかい唇はもう無く……。

冷たくなってた。

ホントに死んじゃったんだぁ…。

もう…その口から、「亜紀」って言ってくれないんだね…。

< 277 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop