15歳、終わらない3分間
ふと気付く、つけた覚えのないストラップ。

それは小さな白いウサギで、首には赤いリボンをしている。



温くても柔らかい風が、髪の毛を巻き上げた。



「っ……!」



突如響いたのは、屋上の重たい扉を勢いよく開ける音。

そしてすぐにそれは音を立てて閉まり、校舎から出てきたのは男子生徒。

両手を膝に当て、肩で息をしている。


微かに見えた、長い前髪の向こうの瞳。


その瞳に懐かしさを覚えたと同時に、真っ白な心の中に一気に青色が散りばめられた。





ああ、そうだ。


 
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