花言葉



「また来ますって言ってた!超嬉しいんだけど!」


愛はまるで女子高生のようにキャーキャー騒いでいる。

そんな愛が可愛らしくてしばらく愛を見つめていたのだが、
ふと、初めに彼が買おうとしていた、ゲラニウムジョンソンズブルーが気になった。


どうしても花言葉が思い出せない。


携帯で、花言葉を調べることにした。


「ん?どうしたの亜実?」

「ちょっと調べもの」


急に携帯を触りだした私につまらなくなったのか、愛は口を尖らせながら、ミニうちわで自分を扇いでいた。


あった。

ゲラニウムジョンソンズブルーの花言葉は、


大天使ガブリエルの悲しい過ち



…………。


なんだろう。

彼はきっと意味があってこの花を買おうとしていたのだろう。

大天使ガブリエルはそんなに関係ないのだと思う。

ただ気になるのが、悲しい過ち。



何か、あったのかな。



「亜実?どうしたの~?眉間に皺よってるよ」

「…あ、いや、なんでもない」


いけない、これでは営業スマイルが出来ないではないか、
と自分に言い聞かせて、携帯を閉じた。



「っていうかさ、吾亦紅って変化って意味があったんだね」


全然知らなかった、と愛は続けて呟いた。



変化、か。

最近私の中で何か変化が起きている気がする。


前までの、毎日が退屈だった頃の私とは何か違う。


彼…杉本蓮に出会ってから、かもしれない。










< 13 / 16 >

この作品をシェア

pagetop