宵闇
彼の隣
あたしの姿が見えると、彼は運転席から手を伸ばし助手席のドアを開けてくれる。



彼の隣に滑り込むと、濡れた体を持っていたタオルで簡単に拭きながら視線を投げた。



いつもの、優しい瞳がこちらを見ている。


『久しぶり』


彼がほほ笑んだ。




それだけで、心臓が高鳴る。

まるで高校生か中学生にでも戻ったみたいに、あたしは少女になる。


濡れたタオルをかばんに押し込むと、彼のほうに向きなおって

「ほんとに久しぶりだよ」


と、少し口を尖らせた。


こんな自分を客観的にみているなら、

<いい歳して……>

と渋い顔になるに違いない。



それくらい、彼の前であたしは女の子なのだ。




でも、そんなあたしも嫌いじゃない。




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