ピュア *first love*



校舎に入り、彼は空いている教室に私を入れると、私の涙を人差し指の背で拭いてくれた。


「あみ……なんで泣いてるの?」


顔をのぞきこんで、優しく触れてくる指先。私はその手に自分の手を添えた。


「聞いてほしいの……私の過去と……気持ち」

「うん……何?」

「……私ね、小5の時に」


震える声。大きく深呼吸をしてから、彼を見上げる。


まるで私の緊張を和らげるかのように、優しく頭を撫でてくれる。



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