黒い春に謳う唄
『堕ちる鎖』


檻から飛び出して
街へと走った


深い宵の闇は
月よりも眩しくて
太陽よりも優しい


誰も私を縛れない
断ち切った鎖が
地に落ちる音を聞いた


シャラン…


思ったよりも軽い響きに
ほんの少しだけ
不安と淋しさ残して


歩き出す背中
真っ白だった翼が
影に散った



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