また恋をした、その時に。





小日向の言葉に私は思わず顔を上げる。


「突然さようなら…だんて言われても信じられねーよな?」

彼は私の頭を優しく撫でながらそう言った。



「さっきのリクの顔…
嘘じゃない


アイツも相当悩んだんだろうな

生半可な気持ちで遠藤さんと付き合ってない…

相当な覚悟だったと思うよ…
凄く苦しかったんじゃね?


それくらい本気なんだ。
アイツにとって
遠藤さんは離れられない、
かけがえのない存在。」


言い終わると
彼は遠くの空を見つめる。

つられるようにして
私も右に振り向き、空を見上げた。

   あ・・・・・

夕暮れ前の空に白い月が浮かぶ。

───あの月がリクのいる世界…

また一筋の涙が溢れる………

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