また恋をした、その時に。



試合の流れは
小日向君やバレー経験者がスパイスやフェイントで得点を稼ぐも

16ー24。

僕がいるチームが負けていた。

あと1点取られたら負けてしまう。


授業終了のチャイムが鳴ったのは
その時で。

女子の「ありがとうございましたー」という声が聞こえ

続々と男子が試合をしているコートの後ろを通って
体育館の出入口へと向かってくる。


そして、笛の音。

相手チームのサーブはまたしても
僕へと目掛けてきて。





構えていたのに
あ。と思った時には

ボールはいきなり
目の前でストンと落下した。


ピピーーーッ

試合、終了。


重い全身の疲労感と虚しさだけが
残った。


動けない僕の後ろを
心美ちゃんがあたたかな瞳で
僕を見ながら通りすぎていたなんて

気づくはずもなく。
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