さんご=15。

□ヒミツのバイトとスクーター





今、高校の前


とっくにチャイムは鳴って
誰もいない校門のとこに
あたしは立ってる




校庭の
フェンスにそって生えてるサクラは
思ったとおり、満開だった




…うん!いいかも!




もう少し近くで撮りたいなぁ…


そう思ったあたしは
閉まってる校門の鉄柵に、足をかけた




「――― さんご!!」


「!!」




え…うわ…ヤッバ…
誰だろう


そう思って振り向いたあたしを
呼び捨てにして走って来たのは
ひょろひょろの体
黒ぶちメガネの担任




…のくせに
なに?うそ…


すっげー足速い
信じらんない…




あっという間に腕つかまれて
あたしは門の上から
ムリヤリ引きずり下ろされてしまった




「は…離してよッッ!!」


「今日は逃がさないぞ!夏見珊瑚!!」




うあ…


せっかくいい感じに撮れてて
楽しい気分だったのに、サイアク…




結局あたしは、授業に出させられて
放課後 教室に居残りすることになった




「――― ”チカン”とか叫ぶのさあ
カンベンしてくれよぉ…さんごぉ…」







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