山賊眼鏡餅。
第4章

沼袋ピンチ

白熱灯のオレンジ色に照らされたリビング。

私が生まれる前からある布製のくすんだ緑色のソファ。

ニトリで買ったテーブル。

ブラウン管のテレビはそろそろ寿命かもしれない。


お母さんは今日も仕事だ。


ドリアをトースターから取り出してテーブルに運んだら夕食の開始だ。


弟はバイトに行ってしまったので、今日も一人だ。


テレビを付けると、2時間ドラマがやっていた。


主演女優が、なぜか危険な崖の上で、犯人を追求しているシーンだ。


真犯人はあなたです!

そう言った主演女優に、逆上した犯人が襲い掛かる。

おまえも殺してやる!

あいつと同じように自殺に見せ掛けて、殺してやる!

崖から落とされそうになる主演女優。


大ピンチ!

その時、隠れていた刑事たちが拳銃を持って駆け付ける。

動くな!手を上げろ!


一見落着だ。



ドラマでは、危なくなったら刑事が助けてくれることになっているが、現実では、そううまくはいかないだろう。



吉川ヨシオの全身を殴打し、火傷をさせ、真帆の左腕を刃物で切り付けた犯人。


まともじゃない。


きっと、関わりになるのは危険だ。


リス研のメンバーが犯人なのだとしたら、確実に、私はその狂気的な犯人と会っているのだ。


出来ればかかわり合いになりたくない。


それなのに、私は、わざわざ危険なことに首を突っ込んで、犯人探しなんてしてしまっている。

平田からもらえるブランド物の財布のため……たけでは無い気がする。


沼袋部長や平田や目黒さんは、何の為に犯人探しをしているのだろう。


平田と目黒さんは、いけてないから、どうでも良いとして、沼袋部長は……?


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