光を背負う、僕ら。―第1楽章―
胸が痛い…どうしようもないくらいに。




あたしは痛みを誤魔化すように、無我夢中で昇降口に向かって走っていた。





本当は、あの二人を二人きりにするなんてこと、したくなかった。



だけどあの場合、そんなあたしの気持ちで動くことなんて出来なかった。



だから、あたしは言ったの。




『二人きりにしなくちゃね』




心にも思ってないような言葉、あたしは言うべきじゃなかったのかもしれない。



でも…だけど…。




二人の姿を見たら、なんだか言わずにはいられなかった。



照れくさそうにしながらも、幸せそうなオーラが溢れる二人の表情を見ていたら…。





好き…。



好きだよ、伸一。



ずっと前から想っているのは、あなただけ――。





だけど伸一は真奈が好きで、真奈は伸一が好き。



だったらあたしの入る隙間なんてないよ。



だったら、あたしは願う。



伸一と真奈の、幸せを。



好きだから、二人には幸せになってほしい。




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