光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「さーなっ!何ぼんやりしてるの?」




放課後の音楽室。



コンクールに向けて練習をする合間のちょっとした時間。



風を入れるために開けてある窓からあたしが外を眺めていると、後ろから流歌に抱き付かれた。




「流歌…暑いってば。」




この暑い日にベタベタされるのは、かなり苦痛なもの。



あたしは逃げるように流歌から自分の体を離した。




「あっと…ごめんごめん。」




慌てた様子で体を離す流歌に、あたしは苦笑いした。



それとともに、あたしはまた外を眺める。




「…佐奈、やっぱりぼんやりしてる。」



「えっ?」




なんのことかと思って視線を流歌に向けると、流歌は真剣なまなざしであたしを見ていた。




「最近ぼーっとしてること多いよ、佐奈。なんか悩み?あたしでよかったら、相談とか乗るよ?」




そう言った流歌は、すごく頼もしく見えた。



相談したら、きっと楽になれるんだろうなって、思えるぐらいに。




だけどあたしは流歌に自分の気持ちを悟られないように、作り笑いをして言う。




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