光を背負う、僕ら。―第１楽章―
「私だって、佐奈の気持ちを分かってる。だけどやっぱり、佐奈を応援することは出来ないわ。」




お母さんはそう言うと、気まずそうに目を伏せた。



何とも言えない、重みのある空気が二人の間を通り抜けていく。





こうなることを、少なからず予測していた。



お母さんには、お母さんが切に願うことがある。



あたしには、あたしにしか目指せない夢がある。




お互いが心に秘めているものがあるからこそ。



あたしとお母さんは、こうやってぶつかってしまう運命だったんだ。




そしてあたしは今、人生の中で最も大きな分岐点に立っている。



こうやってお母さんと衝突することも、それを乗り越える勇気を持たなければいけないことも、すべて。



すべてはあたしが、“今のあたし”を卒業するための試練なんだ。




あたしが選んだ道は、決して容易いものではない。



その先に待ちわびる試練だって、きっと想像を絶するほどきつくて、時には投げ出してしまいたくなるかもしれない。




――だけどもう、後戻りなど出来ない。





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