光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「体験入学に行くこと、反対しないの?」



「別にそれには反対しないわ。私はただ、東條学園に進学することに反対しているだけだから。」




ちょっと不思議だった。



どうして進学することはダメなのに、体験入学に行くことはいいのだろう…。



進学することに反対するなら、行っても無意味だってわかっているはずなのに。



でも逆に、こう捉えることも出来た。




あたしがどんなに東條学園への思いを強くしても、お母さんはとことん反対する気なんだ……。




あたしが必死なように、お母さんも必死になっているのかもしれない。




「…わかった。だったらあたし、行ってくるね。」



「えぇ。」




あたしの気持ちも、お母さんの気持ちも、一直線に向かってただひたすらに伸びていた。





あたしの気持ちが動いたこの夏。



あたしはきっと、忘れられないひと時を過ごすことになるだろう。



時にはやっぱり、小さな石にもつまずきながら。



時には目指した道への行き方を、忘れながら。




そうやってあたしは、成長していく。



ただ、ひたむきな気持ちを抱えながら。




長い旅が、今始まった――。





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