光を背負う、僕ら。―第1楽章―
だけどその場所に続く果てしない道は、ここから繋がっている。



そしてその道を歩いていくためには、幾度となく重なる困難に立ち向かわなければならない。



そしてその困難の一つに、あたしは早速ぶつかってしまっていた。




「あの子もピアノ弾くんだって…。」



「えー。あの子も戸沢さんみたいに上手いのかな?」



「さぁ、どうだろう?たとえ上手いとしても、戸沢さんほどではないでしょ。」




ピアノを使うことを許可されたからこそ、小春ちゃんと比較される。



それは手を挙げたあの時から、ちゃんとわかっていたこと。



だけど周りから聞こえる声に不安にならないなんてことは、さすがに無理だった。



だって小春ちゃんと比較されるということは。



あたしが一番恐れていて、最も苦手で嫌いなことだったから。




「佐奈……。」




気が付くと、心配そうに明日美と流歌があたしを見上げていた。



あたしは今立っているから、自然と二人があたしを見上げる態勢になっていた。





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