光を背負う、僕ら。―第１楽章―

人だかりがなくなったことによって、入口の前に一本の道が姿を現す。



そしてその道の行く先、部屋の入口の所には、一人の男性が立っていた。




「君達、素晴らしい演奏をどうもありがとう。」




軽く拍手をしながら出来た道を颯爽と歩いてくる男性は、爽やかな笑顔を振りまいていた。



黒いスーツを着こなす、スラッとした体格。


髪は後ろに向かって綺麗にセットされている。


パッと見た感じは若い気がするけれど、雰囲気は大人っていう感じがする人だった。




この人は……誰？




男性はみんなの視線を独り占めしながら部屋の中心で足を止めた。



みんなが不思議そうに男性を見つめる中で、滝川先生は慌てた様子で男性に近付いた。




「がっ、学園長！？いきなりどうなさったんですか？」




ザワッ…



滝川先生のその言葉を聞いて、驚かない人なんていなかった。



もちろん、あたしも。


がっ、学園長…。


この人が……

東條学園の学園長。




誰もが学園長の登場で驚く中で、学園長本人だけは実に楽しそうに笑顔を浮かべていた。