光を背負う、僕ら。―第1楽章―
声から、会話している人物が誰なのかはわかる。



だけどあえて靴紐を結ぶ手を止めて、会話をしている人物達の姿を見上げた。




「今日はサッカー部、終わるの早かったんだね。」



「まぁな。今日は試合だけだったし。」




嫌でも、二人の姿は目に焼き付いた。



微笑ましい会話をする、小春ちゃんと伸一君の姿が。



あたしは視線を、自分のスニーカーと手元に戻す。




今日は、ついてない。


何から何まで、本当についてない。



伸一君と目があったと思えば、反応なし。



明日美や流歌達の前だけで弾いたつもりのピアノは、鈴木先生や小春ちゃん一同に聞かれる。



おまけにお母さんを知る人は現れる。



今度は何?



小春ちゃんと伸一君の微笑ましい姿…だって?




もう、やめてよ。




神様という存在が実現するなら、神様にそう訴えたい。



それぐらいついてない。



ついてない、悔しい。


ついてない、辛い。


ついてない、悲しい。



この気持ちをどうしたらいいのかも、誰かにぶつけていいのかも、あたしにはわからない。




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