あなたのペット的生活


ゆっくりゆっくりと一歩一歩松葉杖で歩くと賑やかな音が聞こえてきた。



夜なのに明るいその空の下、人がガヤガヤと賑やかな笑い声が聞こえてくる。


おばあちゃんの家の近くの神社に着くとおじいちゃんやおばあちゃん、孫っぽい少年が歩いているのが見えた。





「おばあちゃんの家からそんなに遠くないんだね」

孝ちゃんに話かけると孝ちゃんはイタズラな笑顔を見せた。


「そうだよ?だから実は家からでも花火すッげー見えるんだ」


こんな人ごみを歩かなくてもな。
とバカにしたような笑い声。



「見えるんだったらなんで言ってくれなかったのよ」

ギブスのしていない足に履いた下駄がカランカランと涼しげな音を鳴らす。



「だって、お前花火より屋台のほうが好きかなって思って」



『好き』……不意に発せられるこの言葉に何度ときめいたことだろう。



「お前は花より団子……だろ?」

ピンっと軽く額をデコピンされる。





にゃろう……大好きだ、こんちくしょう。



ダメダメ。

そんな変態心抱いちゃ。


今夜心がもたなくなる。





雑念を必死で振り払い、孝ちゃんを見ると、ニッコリと輝く笑顔……。



あ〜……ダメだ。

鼻血もんだよ、これ。


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