執事とお嬢様、それから私


「しかしじゃない!!だいたい自分から誘っておいてはぐれるなんてどういう事ですの?情けない!!こんな可愛い方、すぐさらわれてしまいますわ!!」


「綾那ちゃんってもしかして…?」

かのこさんの堅い声…

「西園寺…西園寺綾那。東條雅人の主人、ですわ」

「もしかしなくても東條さんの彼女って…」

そろそろと指を自分に向けるかのこさんに笑いがこみ上げてくる。


「そうですわ!!でも…かのこさんなら。特別に許しますわ!!」

「き、嫌いじゃ、ない?」

泣き出しそうなかのこさんは、年上には見えない。

「当たり前じゃない!!終わった恋より友情よ!!雅人!!!!」

「はい」

「私の友人を傷つけたら許しませんわよ」

「はい…」
< 36 / 81 >

この作品をシェア

pagetop