蝶々結び
「だからさ、お前が責任を感じたりする事はねぇよ?」


上杉先生は柔らかい笑みを見せ、あたしの頭をポンッと叩いた。


「はい……」


あたしは、先生から視線を外して小さく頷いた。


「あっ!俺さ、明日実家に帰るから!」


「自宅じゃなくて……ですか?」


「一回実家に戻ってから、自宅に帰る。だから、今度須藤と会うのは二学期だな」


「そうですね」


出来るだけ明るく言ったけど、少しだけ悲しかった。


ここにいたら、上杉先生を一人占め出来るような…


そんなずるい感情が、自分(アタシ)の中にあったから…。


今更だけど、何日も引きこもっていた事をすごく後悔した。


「明日の何時頃に出るんですか?」


「10時頃だよ」


明日は上杉先生を見送る事にして、祖父母の家の前で先生と別れた。


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