蝶々結び
助手席の窓を開けて、祖父母に笑顔を向けた。


悲しそうに笑う二人に、胸の奥が痛む。


あたしが帰る時、二人は毎回この表情をする。


何度見ても慣れないな……


あたしは出来るだけ笑って、祖父母にお礼を言った。


「色々ありがとう。おじいちゃん、おばあちゃん……体に気をつけてね!」


「また遊びにおいで……」


「二人で待ってるからな!」


「うん!」


祖父母の瞳を真っ直ぐ見つめて頷いてから、ニコッと笑った。


「またね!」


車が走り出しても、窓から身を乗り出して手を振り続けた。


寂しさが込み上げて来る。


皆の姿が少しずつ小さくなって、とうとう見えなくなった。


まだまだ暑さは残るけど…


あたしにとっては、いつもこの別れのシーンが夏の終わりの合図だった――。


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