蝶々結び
「寂しかった?」


楽しそうに意地悪を言う、上杉先生。


そんな状況が、すごく悔しかった。


「別に……」


可愛いげの無い性格のせいで、可愛くない言い方しか出来ない。


「怒ってんの?」


「怒ってません……」


あたしは怒っている訳じゃなくて、ただ寂しかっただけ…。


この気持ちを、素直に言えたらイイのに…。


「七星」


「はい……」


明るい口調の上杉先生に、沈んだ声で返事をした。


「どっか行くか?」


「へ……?」


予想外の言葉に驚いて、マヌケな反応をしてしまった。


すると、上杉先生は優しい声でもう一度同じ事を訊いた。


「どっか行くか?」


「行きたいっ……!」


あたしはすごく嬉しくなって、今度は弾んだ声で即答した。


< 343 / 494 >

この作品をシェア

pagetop