蝶々結び
「あぁ、それねっ♪」


優子は、あたしを見ながらクスッと笑った。


「どうしたの?」


「だって、七星がそんな事言うのが何だか可笑しくて……」


優子は、まだクスクスと笑っている。


「あっ、そうかな……?」


彼女の言葉で急に恥ずかしくなったあたしは、小さく俯いた。


「ごめん、ごめん……。冗談だよ?七星、怒っちゃった?」


優子は机の前に屈(カガ)んで、あたしの顔を覗き込んだ。


「ううん!怒ってないよ!」


「そっか、良かった」


「うん……」


少しだけ沈黙が続いた後、優子がニッコリと笑って口を開いた。


「楽しいからだよ♪」


「何が……?」


「彼氏を作らない理由!」


あたしには、優子が言った『楽しい』の意味がわからなかった。


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