異常
失望
 私は遂に人を殺した。             

 “遂に”というのは、いつか必ず自分は人を殺してしまうと予想できたからだ。                       

 どうして予想できたのか。                       

 それは私が“その為”に育てられたからだ。                           
 私は父と呼ぶべき男の玩具にされ、実験のモルモットにされた。                              
 男はこの世界に失望していた。                                 
「つまらない」                             
 それが男の口癖だった。                        
 男はこのつまらない世界に、日常に混沌をもたらす為、私を造ったと言った。
< 7 / 28 >

この作品をシェア

pagetop