ぼくの太陽 きみの星
鷹耶は、椅子に座って、長い足を机の上に投げ出して、本を読んでいた。



「ケーキがあるから、降りて来てって、ママが」

「わかった。行くよ」

「……お兄ちゃん、髪伸びすぎじゃないの?」


黒い前髪が頬までかかって、勉強するには鬱陶しそうだった。


鷹耶は軽く肩をすくめた。


「美容院ニガテだから。

未怜が切ってよ」

「坊主にしちゃうよ」

「……ずいぶん機嫌良さそうだね。

仲直りでもしたの?」

「……」

「肌、つやつやさせて。やったんでしょ」

「……お兄ちゃん」

「ね、言ったとおりでしょ」

「……」


思わず、口元をゆがめて笑う鷹耶をにらみつける。


「少しはうまくなってた?」


形のよい眉を上げて、からかうような口調。
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