%コード・イエロー%

「セクハラねぇ」


仲地の瞳が、嗜虐的な色に染まる。


「じゃあ、まずはセクハラしないとまずいわけだ」


「は?」


仲地が掌を下に向けて、ひらひらと振った。

来いと言っているのだ。

警戒しながら、私は、一歩彼に近寄った。


「ここに座れよ」


ここ、と言って仲地が自分の膝を叩く。


「おっしゃってる意味がわかりませんが」


仲地の唇が斜めにつりあがって、綺麗な弧を描いた。


「セクハラ・・・というより、これはパワハラに近いかもな。

言うこと聞かないなら、松本春菜のカルテを盗むつもりだってばらす」


自分の顔から、血の気が引いたのがわかった。

安易に名前を出したせいで、余計に弱みを握られてしまった。


カルテ庫にいたことは全てとぼけて、今までどおり一人で探していた方がよかったのか。

何十年かかっても、たった一人で。






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