%コード・イエロー%

その尋ね方は、卑怯だ。

だって、答えは、嫌だ、に決まってる。


どうせなら、“ここに住むのが嫌なのか”って訊くべきだ。


そうすれば、私は。

私は・・・。


なんと答えるのだろう。


先に食事を終えた亮雅は、さっさとシャワーを浴びに行ってしまった。

後片付けはお前な、と言い残して。


蛇口を持ち上げると、勢いよく水が流れ出す。

あっという間に皿もカップも綺麗に磨かれていく。


こんな風に、私も洗い流せないのだろうか。

過去に経験した、たくさんのことを、ごしごし洗って、もう一度。


洗ったカップを拭いていると、茶渋の薄い線がうっすらと何重にも残っていた。

私はそのカップを、今度はスポンジをめいいっぱい泡だててから、

ごしごしと丁寧にこすった。


新品には、戻らない。


当たり前か--。



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