%コード・イエロー%

私が否定しないので、里佳子の頭の中では私たちが別れたことになったのだろう。

私は、マンションの荷物を亮雅がすべて持ち出している事を伝えた。

仕事はなくなったが、住む場所はあるので当分は何とかなるだろうと言って安心させるつもりだったのだが。


でも変よねぇ、と里佳子は独り言のようにつぶやいた。


「夏夜は、仲地先生の弱みでも握ってるの?」


「何言ってるの。そんなわけないじゃない」


「だよねぇ。でも変じゃない?普通別れたら、出て行けって言うでしょ?

なんでこのマンションを好きに使えなんていうの?」


タオルの重みを押しのけて、私の瞳がぱっと開いた。


そう言われればその通りだ。

弱みを握られているのはこちらの方だ。それなのに、なんで亮雅が出て行くんだろう。

この家の家賃を私に払わせるつもりとか?

いや、契約をしているのは亮雅なのだから請求はそちらにいくはずだ。



・・何か、ある?



私は、また同じ過ちを犯そうとしている。

可能性が低くても、少しの光にすがり付こうとして。


ずきん、と目の奥が痛んだ。


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