%コード・イエロー%

「ん~!あったまる~!」


こたつの上で鍋をつつきながら、私は最上級の幸せを噛み締めた。


「やっぱりキムチ鍋は最高だね」


一人暮らしというのは、どうしても独り言が増える。

一日中ビデオカメラを回したら、ものすごくあやしい人に見えそうだ。


“准看護学校入試問答集”と書かれた分厚い問題集を横目で眺めながら、

私は大口で白い米を胃に納めた。早食いは良くないってわかってはいるけど、時間が惜しい。

スープの最後の一滴をごくりと飲み干すと、よしっ!と気合を入れる。


後片付けは明日の朝と決め、鉛筆を挟んだページを開いた。


『やると決めたんなら頑張んなさいな』


大谷の言葉を何度も反芻しながら、私は目標のページにたどり着くまでひたすら問題集と格闘した。


満腹になると、どうして眠くなるんだろう。

ひっつきそうになる瞼を根性で持ち上げる。


亮雅を忘れるためじゃない。

いつかもしも彼に会えたときに、胸を張って会いたいから。

だから、今は、無心に頑張りたい。


< 420 / 481 >

この作品をシェア

pagetop