%コード・イエロー%

「お疲れさん!」


最後の一人を診察し終えた医師が、眉を下げにこにこ顔で帰っていく。



・・あの笑顔。今日は、接待だな。



医者にこびる人間は多い。中でも、製薬会社の営業さんは、その最たるものだ。

大きな病院で採用されれば、営業成績があがるから、接待も半端ではない。


背の低い医師の背中が、うきうきと弾んで見えて、私は口をへの字に曲げた。


と、最後の患者が受付に来る。


「はぁ~。ちょっと、もっと診察、どうにかならないの?」


疲れきった患者さんの家族。

患者本人は、後ろの席で、ぐったりと座り込んでいる。


「申し訳ありません」


「あやまられたって、困るのよ!

3時間も待って、もう9時よ、9時!

予約時間は、6時だったのよ!!」


「申し訳ございません。今日は、かなり混んでおりまして」


「ほんと、いいかげんにしてちょうだい!!

具合が悪くなるために、病院に来てるみたいだわ!」




< 80 / 481 >

この作品をシェア

pagetop