ミズイロ

いつのまにか二十歳


分かっとりますよ。

分かってるんですよ、そのくらいは。



寝転がって、もう何度も読んだ漫画を広げながら、さっちゃんの言葉を復唱する。



やるべき事…って、何だろう?



気づいたらもう二十歳だし、十代終わっちゃったし、無趣味だし。

夢も目標もないし、遊ぶったってもう色々と飽きちゃったし、テレビもくだらないし。

かといって勉強する気にもならないし、やる事なんて何もない。



続きが読めている人生ほど、つまんないものはない。



でも…


恋をしている時だけは違うんだよね。

恋している時だけは、何が起こるか分からないし、毎日うきうきして、きらきらして、心が元気になる。


明日が来るのが楽しみになる。



自分がこんなに恋にアイデンティティを感じる人間だとは思わなかったよ、さっちゃん。
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