サミシイカラ…ウソツキ



あたしは驚きと少しの後悔で、言葉が出なかった。開けてはいけない扉を自分で開けてしまった気がした。


「もしもし?ゆう?俺だけど…久しぶりだね。」


…まだ声が出ない。


携帯から伝わるあなたの甘い声で体が震える。


思い出しちゃいけないあの夜が鮮明に甦ってくる。



「ゆう、今ベランダに出て公園を見てみて?」



あたしは震える体でそっとベランダから公園を覗いた。


そこには…



紙袋を抱えた成瀬さんがこちらに向かって手を振っていた。



< 35 / 107 >

この作品をシェア

pagetop