世紀末の恋の色は

第三章

レナがアルフレートの屋敷に連れられて来てから、既に三日が経過した。

彼女が目覚めれば、セシルがやって来て朝食の準備を整えてくれる。

着替えにと出される服はどれも高価そうなものばかり。

幾つ部屋があるのか見当もつかない豪邸……いや、むしろ城館でそんな客人のような扱いを受ける理由が分からず、レナは夕食の折にアルフレートに尋ねてみた。

平然と返って来た答えは頭を抱えさせるようなものだった。


『召使の扱いが良ければ今直ぐその様に変えてやってもいいが、あまり役に立ちそうにもないな』


……つまり彼女はアルフレートに何も、全く何も求められていないことになる。

彼の真意が理解出来ずに、レナは溜め息をつくばかり。

そして彼女の気がかりはそれだけではなく。

花嫁たる彼女が消えて、吸血鬼はどうしたのだろうか。

村はどうなっているのか。

この屋敷が見つけられることはないだろうか。

どうしようもない恐怖に襲われる度、逃げていては駄目だと何かが囁く。

その声を無視して、レナは与えられた部屋から廊下へと続く扉に手を掛けた。



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