A Deep-Seated GRUDGE
素敵な想いで
ザァァ…


「こんなところに1人でどうしたの?」


「塾で…、塾で100点取れなかったから。」


「取れなかったから?」


「お母さんにまた嫌われちゃうよ…。」


「……。
 何点だったの??」


「95点。」


「たとえ、お母さんが嫌いになったとしても
俺は好きだよ。」







彼はなぜこのとき

私と母の間には普通の家庭にはない

ものがあるとわかったんだろう?

普通なら

“お母さんが君を嫌いになるはずないよ”



というだろう。

なのに彼は

母が私を嫌いにならないとは言わなかった。

まるで、これから先

私と母の間でおこることを

予想していたかのようにあのころは思えたんだ。



その日私は

彼とたっくさんお話をしたんだ。

彼の名前は

ゾロ。

人間界の人ぢゃないんだってっ!!

妖精界の王子様で

お母さんは年をとらないとっても綺麗な人で

お父さんは大王様で

とても大きいんだって。

ゾロはと飛ぼうとするたび


お父さんの指に羽がひっかかって

すぐ、落ちてしまうんだって。

だから、まだ一度も空を飛んだことがないんだって…。





「もも…、ももー!!!!」


「ぶー…っ、なによぉっ…っ私の素敵な思い出を壊すつもり??」



「あのねぇ、桃。
言っとくけど!!
王子様とか妖精だとかありえないから!!
現実をみなさいよっね??」



「う…嘘っ!?
なんで私がソロのこと考えてるってわかったの?!」




「普通わかるわよ…。
だっていつもその話してるぢゃない…。」


「さっすが詩織だね!!」





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