飛べないカラスたち
*





「ぅわああああああああああっ!!!!」



「クロウ!?クロウ、大丈夫ですか!?」



飛び起きたレイヴンは、ベッドに駆け寄って今しがた悲痛な叫び声を上げたクロウの肩を揺さぶる。


身体を強張らせてのた打ち回るクロウは、その振動に硬く閉ざしていた瞳を開き、意識を取り戻すと、振り解こうとしたその腕がレイヴンのものだと気付き一気に身体中の筋肉を弛緩させた。


身体中に汗をかいて、息は少し上がっている。


バタバタと忙しない足音が、勢いよくドアを開ける。



「クロウ!!…痛、…」



突然起き上がったからだろう、ルックはそのままふらついて頭を抑えるとその場に膝を着く。


ルックは寝起きに突然飛び起きると脳貧血を起こすので、普段は最低でも5分以上かけてゆっくり起きるようにしているのだが、今回はそんなことさえ忘れていたようだ。



「……ははっ…何やってんだよ、ルック……柱に頭ぶつけんぞ」



突然入ってきてへたり込むルックを見て、肩で呼吸をしながら、クロウはそれでも小さく笑いながら弱々しくルックを窘める。


濡れた髪に手を差し込んでガシガシと掻きながら目元を手で覆い隠してしっとりと顔を濡らす汗を手の甲で拭うと、ゆっくりとクロウは身体を起こした。


まだ少しいろんなところが痛い。主に鳩尾。





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